入居までの手順

step 2-1   賃貸オフィス契約の流れ

気に入ったオフィス物件が見つかったら、具体的な契約条件の確認と入居申込みの準備を進めます。 入居申込書には、会社名・住所・代表者名・業務内容・取引銀行等を記入します。会社案内・登記簿謄本を添付して入居の申込みをします。ビルオーナーは、これに基づいてテナント企業の信用調査を行います。

調査結果に問題がない場合は、契約書の作成に入ります。しかし、本契約に先立ってオフィス物件をおさえるために、手付金(保証金・敷金の20%程度が相場)を納めるケースもあります。手付金は、保証金の一部に当てられるのが一般的ですが、キャンセルした場合は戻ってくるのか等を、再度確認し納得した上で「借りる」という、意思表示をするために預けましょう。預けた際には、必ず預り証(領収書)をもらう事を忘れずにしてください。キャンセルした時にお金(手付金)を返してくれるという約束がある場合は、その書面も、もらえればもらっておきましょう。

契約日までに保証金(敷金)の全額を入金処理しておきましょう。銀行振込の場合、振込手数料は原則としてテナント側の負担となります。現在では、保証金(敷金)は契約日までにオーナー側で入金の確認が取れるように振り込むのが一般的です。賃貸借契約書の内容を双方でもう一度確認します。不明な点は再度話し合い、充分に理解、納得の上、最後に捺印して契約成立です。契約時には、会社実印、会社の印鑑証明書、代表者の印鑑証明書、会社の登記簿謄本、保証金、前払い賃料、共益費を持参しましょう。また、保証金や前払い賃料、共益費を手付金(予約金)として振込入金した場合は、預り証(領収書)を持参してください。同時に現入居ビルの解約手続きを行い、明け渡し月の賃料を支払いましょう。ここで再度、保証金の返還、原状回復工事について確認しましょう。また契約準備・契約の確認には、事務所移転チェックリストをプリントアウトして、1項目ずつ順番にチェックしましょう。

賃料について

賃料起算日

賃料起算日とは、賃料の発生する日のことです。

一般的に、賃料起算日は内装工事の着手日やカギの引渡し日からという場合が多いようですが確認しましょう。また、共益費の起算日についても確かめておきましょう。さらに、賃料が数ヶ月無料になるフリーレントの有無も確認しましょう。

支払い時期や方法について

通常、オフィスの場合は、翌月分を前月末までに支払う前払い方式です。

持参するか銀行振込にするかを確認してください。銀行振込の場合、振込手数料は原則としてテナント側の負担となります。

賃料改定時期

契約更新時に賃料などの改定が行われるのが一般的です。

更新時に更新料は必要なのかどうか、また、その額が賃料の1カ月分であれば、現行賃料に対してなのか、新規賃料に対してなのかを明確にしておきましょう。賃貸借の契約期間は通常2年が多いようです。双方で異議のない場合は自動更新されます。

共益費(管理費)

共益費とは一般的にビル共用部分の保守防犯管理のための経費です。

エレベーター、空調機器、給排水設備などの保守整備費、また、共用部分の電気・ガス・水道料や清掃費などのオフィスビルの管理に必要な経費のことです。共益費とは単に管理費だけをさすのか、あるいは貸室内の冷暖房費、空調費などが含まれているのかを確認します。冷暖房など、空調の使用条件については館内規則(細則)を事前に確認しておきましょう。

定期借家契約について

借地借家法が改正され、従来の普通借家契約に加え、定期借家契約という制度が新設されました。

従来型の借家契約は、期間の定めは契約終了ではなく、更新を前提としたものでした。新制度が大きく違うところは、契約の更新がないこと、契約期間の満了により賃貸借契約が確定的に終了することです。引き続き借りたいときは、貸主と再契約することになります。  契約の時は、従来型の賃貸借契約か定期借家契約かを十分確認することが必要です。

step 2-2   オフィスプランニングを始める前に

オフィス移転や新規開業は、とても大きなイベントです。その中でも、オフィス移転は現状のオフィスの問題点を解決できる絶好の機会です。数年先までの人員増や組織変更、情報化などを考慮して、機能的で働きやすい快適なオフィス環境を創りましょう。そのためにも、配線処理などの変化に対応できるフロアや、間仕切り、パーティションなどのシステム家具やワークステーションを選ぶことが大切です。また、オフィスレイアウトの際、電気系統や照明、空調、消防法などの複雑な制約があるので充分に注意が必要です。オフィス移転では、そのような事をトータルサポートしてくれるコンサルティング会社などに依頼することが得策でしょう。まずは、オフィスワーカーの満足度や、OA機器の使用状況などを調査して、現状の問題点の整理から始めましょう。またオフィスプランニングの確認には、事務所移転チェックリストをプリントアウトして、1項目ずつ順番にチェックしましょう。

step 2-3   オフィスプランニング/オフィスレイアウト作成

社員1人あたりのワークスペースは?

ワークスペースとはオフィス全体の面積から共同使用するパブリックスペースを除いた面積です。

一般事務業務における1人あたりのワークスペースは、最低1.8坪(約6㎡)程度は確保したいものです。 しかし実際は、1坪(3.3㎡)くらいが実情でしょう。 OA機器などを多く使用する場合は、これ以上のワークスペースが必要になります。また、将来的な増員や書類増加なども考慮して試算してみましょう。

※ パブリックスペースとは・ ・ 応接室、会議室、総合受付、リフレッシュコーナー、更衣室、給茶コーナー、休憩室、コピーコーナー、閲覧室など

オフィスの通路幅はいくら確保できますか?

オフィス内の通路は大人2人が相互通行できる幅が必要です。

一般オフィスのメイン通路幅は1.2~1.5m程度を確保しておきましょう。 一般通路で0.8~0.9m程度、デスク間は1.4~1.6m程度の間隔が必要です。

書類や資料の収納性を考えよう

ペーパーレス時代とも言われていますが、書類や資料などは、3年で2倍になることがあると言われるほど、日々増加していくものです。 収納性を高めるためにも、天井近くや壁面などの余剰空間を有効に活用しましょう。ファイリングシステムの導入も省スペースを考える上で有効です。

リフレッシュメントを考慮しましたか?

OA化が進むほど、オフィスワーカーにとって心身のリフレッシュが必要になってきています。 オフィスの事務スペース内か、近くにリフレッシュのための空間が確保されていることが望ましいでしょう。最近では、共用部に喫煙室やリフレッシュコーナーを設けているところが増えています。

騒音対策や色彩も考慮しましたか?

カーペットはOA機器などの騒音吸収や、歩行の疲労感を和らげるのに役立ちます。 また、オフィスの色彩計画も考えて、心やすまるオフィス環境を創りましょう。

照明は適切ですか?

一般事務オフィスの照度は、ワーカー各自の作業に適した750~1000ルクスを確保する必要があります。

十分な照度がないと視力や能率の低下、健康面への悪影響も心配されます。  蛍光灯が露出している照明では、コンピュータのディスプレイへの映り込みで画面が見えにくくなり目の不快感や視力低下、疲労などを引き起こす原因になります。このため、蛍光灯などの光源に拡散パネル、プリズムパネル、ルーバーなどを取り付けてまぶしさを軽減する方法や、OA機器などの設置を天井照明に合わせて変更するなどのグレア防止対策が必要です。

適切な空調がなされていますか?

オフィスの快適性を保つ温度(湿度)の目安は、冬季22℃(湿度40%)、夏季26℃(湿度50%)とされています。また、OA機器などの設置場所や発熱量を考慮した適切なオフィスレイアウト計画や空調計画が大切です。間仕切り計画がある場合は、空調を妨げないように注意して、消防法上で定められた条項に違反しないかどうか必ず確認してください。

時間を効率化するならプロに一任という手も・・

オフィス移転や事務所開設は、最低でも内装工事・電気工事・電話工事・LAN工事・引越しといった作業を、各専門業者へ依頼することになります。また、オフィスレイアウトを設計会社や家具メーカーに依頼する場合は、さらに業者が増える。これらを全て社内担当者がコントロールするのはかなりの重労働です。そこで、オフィス移転関連の煩雑な作業を一括で代行してくれるコンサルティング会社や不動産会社を利用するのも手でしょう。オフィス移転のコンサルティングは、それを専門にしているところや家具メーカー系、IT系など、さまざまな会社があります。自社の都合に合う会社を選択しましょう。家具メーカー系は融通が利かないという噂もありますが・・・。このような会社を活用すれば、社内担当者が本来の業務に専念できる意味でも依頼する価値があるでしょう。